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The one …ただ一人の…
第3章 戸惑い
そう来るんだ。なんて思っていたら、その刃が、あろう事か隣にいた、他の女子に当たりそうになる。

『危ないっ!』

咄嗟に曄良は、刃ごとカッターを握り、隣の女子を庇う。
曄良の手から血が流れ落ちる。
「あっ……っ…」
女子大生のカッターを持つ手が震えている。

『あなたの方が痛そうな顔してる。』

そう曄良が言うと
その女子はカッターを離し、ヘナヘナと座り込んだ。
庇われた女の子が、曄良の手を見て顔色を変える。

『刃物は危ないの。ましてや友達が周りに居るのに、振り回したらダメ。』

女子達は震えていた。

『大丈夫。大事にはしない。日向くんの事も、年上だから似合わないって自分でもわかってるから。もう、こんな事しないでね。わかった?』

全員、顔を真っ青にしながら頷く。
庇われた女子が、震える手でハンカチを渡して来た。
『あっ、ありがとう。』
曄良はそう言うと、握っていた手を開く。
『つっ…』
痛みに顔が歪む。
カッターに付いた血を軽く拭くと、刃を閉まった。
傷口をハンカチで止血する。
『このカッターそっちで処分して。』
とカッターを女子に渡す。
じゃ、と言って曄良は放心状態の女子大生達を残し、その場を後にした。


残された女子大生達は、咲世子を見た。
唇を噛み締め、渡されたカッターを握って震えていた。
『咲世子、帰ろう。』
取り巻きの一人、沙都子が声をかけた。

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