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The one …ただ一人の…
第18章 音信不通
『馬鹿かっ!』
『可哀想に……一週間。曄良、悩んでたんだろうな……どっかのドジ秘書の所為で!』
日向は意地悪く言った。
「面目無い……」
山下が小さくなって、頭を掻いた。
『午後、半休な?』
お前の所為でややこしくなったんだから、調整しろよ。と山下に、迫る。
「ええっ、またそんな、溜まった仕事はどうするんですか?」
『戻ったらやる!』
また、そんな事を言って。
曄良さんが絡むと、仕事疎かになるくせに。
戻って来る保証ないじゃないですか……

『仕事は仕事、プライベートはプライベート。区切りを付けるようにする。そう決めたから。』
確かに、今週の日向は、西園寺に説教されてから、集中力が半端なかった。
仕事のスピードもかなり早くなった。

「わかりました。調整します。」
『悪いな。迷惑かけて。』
「私の所為でもあるので。」
山下はスケジュールの調整で電話をかけ始めた。



「はぁーっ」
曄良は今日何回目かのため息を吐いた。
『随分と深いため息だな?』
耳元で低い声で囁かれ、曄良はビクッとなった。
そっと振り返る。
「日向……えっ?どうして。」
『お前なぁ……どうしてじゃないだろ?』
「えっ?」
『携帯は?』
「あっ……そう言えば。電源……あれっ?」
曄良は、慌てて携帯を取り出す。
電源を入れるが、画面は真っ暗のままだ。
「充電してない……」
曄良は慌てて充電器を取り出して、充電を始めた。
日向はイスを持ってきて、曄良の後ろに置いて曄良を後ろから抱きしめるように座った。
「あ。復活!」
画面を見て、顔色が変わる。
えっ私いつから携帯見てなかったの?
すごい数のメール、着信が。
そしてほとんど日向のものだった。
『オレの心配してた気持ち、わかった?』
「ごっ、ごめんなさいっ!」
『音信不通になってから、一週間だぞ……。お前、オレを殺す気か?』
「えっ?一週間も…」
曄良は、なんでこんな事になったのか、混乱していた。
お前、ちゃんと仕事出来てたのか?
そう聞かれて、えっ、それは大丈夫だよと言うと。
日向が笑って言った。
『パソコンの画面、ああああああってなってるぞ。』
「えっ、うわっ!」
曄良の眼の前のパソコンの画面に無数の「あ」が打ち込まれている。
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