この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
The one …ただ一人の…
第20章 過去
「曄良、親父さんが話をしたいそうだ。どうする。」
曄良はゆっくりと譲の顔を見る。
『謝りたいそうだ。』
日向は、曄良の手を強く握りしめる。
曄良は日向を見つめる。
「オレも、側にいていい?」
『いてくれるの?』
「ああ。一緒に行こう。」
日向は曄良の手を引いて、控え室に向かった。
控え室に入ると、その男は、床に座り込んでいた。
ゆっくりと見上げ、曄良を見た。
曄良は、身体が震え出す。
日向は、少し庇うようにして立った。
「曄良。本当にすまなかった。」
父はそう言って、土下座した。
「許して欲しいとは言わない。ただ、謝りたかった。それから。」
そう言って、1通の手紙を取り出した。
見たことのある字で、曄良へと書かれている。
『母さん…』
「そうだ。母さんの手紙だ。」
『なんで。』
「死ぬ前に、母さんが書いた手紙だ。」
『だって、母さんは事故で、突然亡くなったのに。』
「母さんは…自殺だったんだ。」
『えっ…』
「母さんは、私の浮気を苦に、自殺したんだ。」
曄良も、日向も、そして譲も、その場に立ち尽くした。
「母さんに浮気がバレて…喧嘩になった。売り言葉に買い言葉で、別れてやるって言った。そのまま、家飛び出してしまって。
次の日、頭冷やして帰って謝ろうと思った。家に帰ったら、誰もいなかった。
警察から電話が掛かって来て…母さんが、走ってくるトラックに飛び込んだ。って。」
『嘘だ!そんな事…』
譲が俯く。
曄良の頬に涙が伝う。
「私も、受け入れられなかった。」
「その日から、仕事もせず、色んな女に手を出したが、埋められなかった。唯子を失った悲しみを埋められなかったんだ。」
曄良はゆっくりと譲の顔を見る。
『謝りたいそうだ。』
日向は、曄良の手を強く握りしめる。
曄良は日向を見つめる。
「オレも、側にいていい?」
『いてくれるの?』
「ああ。一緒に行こう。」
日向は曄良の手を引いて、控え室に向かった。
控え室に入ると、その男は、床に座り込んでいた。
ゆっくりと見上げ、曄良を見た。
曄良は、身体が震え出す。
日向は、少し庇うようにして立った。
「曄良。本当にすまなかった。」
父はそう言って、土下座した。
「許して欲しいとは言わない。ただ、謝りたかった。それから。」
そう言って、1通の手紙を取り出した。
見たことのある字で、曄良へと書かれている。
『母さん…』
「そうだ。母さんの手紙だ。」
『なんで。』
「死ぬ前に、母さんが書いた手紙だ。」
『だって、母さんは事故で、突然亡くなったのに。』
「母さんは…自殺だったんだ。」
『えっ…』
「母さんは、私の浮気を苦に、自殺したんだ。」
曄良も、日向も、そして譲も、その場に立ち尽くした。
「母さんに浮気がバレて…喧嘩になった。売り言葉に買い言葉で、別れてやるって言った。そのまま、家飛び出してしまって。
次の日、頭冷やして帰って謝ろうと思った。家に帰ったら、誰もいなかった。
警察から電話が掛かって来て…母さんが、走ってくるトラックに飛び込んだ。って。」
『嘘だ!そんな事…』
譲が俯く。
曄良の頬に涙が伝う。
「私も、受け入れられなかった。」
「その日から、仕事もせず、色んな女に手を出したが、埋められなかった。唯子を失った悲しみを埋められなかったんだ。」