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第1章 出逢い

それは、親父の知り合いと会食があると言われ、都内のホテルに行った時の事。
所謂、お見合い染みたことをさせられ、オレは苛立っていた。
途中、一度退席したオレは、外から親父に電話した。
「何なんだよっ、あれ。オレは見合いはしない。」
『まあ、落ち着け。あちらのお嬢さんがどうしてもって言うから、仕方なく食事の機会を持っただけだ。気に入らなければ断ればいい。』
「そんなことして、大丈夫なのかよ。色々都合があるんだろっ」
『はははっ。気にするな。』
機嫌直して、戻って来い。
と言われ、ため息をついた。

ドンっ！
『あっ』
「うわっ」

後ろから、ぶつかってきた女が、オレの横で倒れそうになった。
咄嗟に腕を掴み、引き寄せる。
髪が顔を掠めるとフワっと香る優しい香り。
そして見上げてきた彼女に目を奪われる。
柔らかな栗色の髪を緩く巻き、フワフワした髪から覗く顔は小さく、目はくりっとしていて、あどけない顔をしている。掴んだ華奢な腕は力を入れたら、折れてしまいそうだ。
かっ可愛いっ！
瞬間、心臓を鷲掴みされた。
彼女は頬をピンクに染めて、こちらを見ている。
抱きしめたい衝動に駆られていると
彼女はオレに向かって頭を下げた。