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第1章 出逢い

「ごめんなさいっ、ぶつかってしまって。」
『あっ大丈夫ですか？ケガない？』
「あっ。支えて頂いたので、ありがとうございます。」
鈴を転がすような声で、そう言って、恥ずかしそうに笑う彼女に、今まで感じたことのない切ない気持ちが湧き上がる。
ドキドキする。このまま離したくない。抱きしめたら…変だよな。
「ではっ。仕事がありますので。
本当にありがとうございました。」
ぺこりと頭を下げると、日向の腕をすり抜けて、走り去っていった。
日向は暫く走り去る、彼女の背中を見つめていた。


『気に入ったのか？』
突然後ろから声がして、ビックリして振り返ると、ニヤニヤした親父がたっていた。
「親父、なんだよ、居たのかよ。」
あの娘なら、見合いをするのか？
馬鹿な提案をする親父に吐き棄てる。
「アホかっ！馬鹿か？そんな事するか！」
すると次の言葉に驚いた。
『あの娘ならライルというカフェで見たことがあるぞ。』

「なんで知ってるんだよっ！」
『……教えてやらない。』
はぁ？なんだよ、それ。

『とりあえず、中に戻って食事を続けてくれるかな？』
クソ親父っ！心の中で呟きながら、頭の中で、さっきの彼女を思い出していた。

それから日向はライルと言う名前を元に、ネットで調べ、ここの店に辿り着いた。
ネットで検索した時に、アルバイト募集中なのを知り、履歴書を手にここを訪れたのだ。