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The one …ただ一人の…
第5章 好きという事
大学の講堂で、日向は大きな溜め息を吐く。

今日も曄良さん、来ないのかなぁ。

昨日は職場の先輩の所に泊まるとメールが来ていた。
もちろんマスターに、だけど。
思わず、マスターに男か女か?と問いただしてしまった。
女だと聞いてホッとしたけど。
もう一週間は過ぎたよな。何日会ってないんだ?
もうそろそろ…死ぬな、オレ。

「日向!あーあ、顔死んでる。」
『息してるか?オレ。』
ははっと笑って朋也は日向の肩をポンポン叩く。

「ちょっと、嫌な話聞いたんだけど。」
『なんだよ。嫌な話って?』
「たぶんお前の彼女絡んでると思う。」
『何?』
日向は、眉を上げて、急にギラギラした目になった。

「さっき、文学部の咲世子さんの取り巻きから話しかけられてさ。日向の彼女の怪我の事で、何か聞いてるかって言われたんだ。」

『怪我?』

「で、問いただしてみたら、どうも咲世子さん、学食で俺らの話を聞いてたみたいで、お前の彼女に殴り込み掛けたって。」

ガタンっ!

「なんで、殴り込み?」

日向は頭に血がのぼるのを感じた。
日向は講堂を勢いよく飛び出すと、あちこち探し回り、学食でたむろってる咲世子の前に来た。

「ちょっといい?」
すごく優しい声で咲世子に話しかける。
逆に怖い。
咲世子は真っ赤になって日向の後ろを付いて来る。
次の瞬間凄い低い声で唸るように言った。

「曄良さんに何を言った?聞いている意味わかるよな?」

みるみる顔色が真っ青になる咲世子。
凄む日向に涙目になりながら、震える声で言った。

「だって、、日向くんに好きな人が出来たって聞いて。日向くん、私が何度も告白したのに全然取り合ってくれなかったのに…、
どんな人か、どうしても会ってみたかったの。
5歳も年上だって言うし。あんな年上のおばさん、日向くんには似合わない。
だから忠告してあげたの。おばさんは手を引けって!」
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