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The one …ただ一人の…
第5章 好きという事
ドンっ!!

咲世子の横の壁を、思い切り殴りつけた!咲世子はビクッとしてその場にヘタり込む。

「あんたは、何の権限があって、そう言う事言うんだよ?それに。あんたの方がよっぽど老けて見えるぜ!」

咲世子は唇を噛み締める。

「怪我ってなんだよ?」

咲世子は、日向の顔を一瞬見上げて、顔を強張らせた。

「あの人、誰にも言わないって言ったのに…ひどいっ!」

とボロボロと泣き始めた。
すると脇から1人の女が入ってきた。

「咲世子、ごめん。朋也くんに私が聞いたの。
あの人の怪我の事、何かきいてる?って…
だってあの人、私を庇った所為で怪我したんだもん。どうしても、気になって。
でも、朋也くんも、日向くんも、知らなかった。
だからあの人は本当に約束守ってくれてたんだよ。」

話がさっぱりわからない。
咲世子を冷たい視線で見下ろす。
そして、もう一度壁を殴った。

「オレは生涯曄良以外とは付き合わない。心変わりはしない。言葉の意味わかるよね?」
涙目で上を向いてる咲世子。

「二度と曄良に近づくなっ!」
日向は怒りで手が震えた。
「今度何かしたら、殺す…」
唸る様な声で凄むと、踵を返して去っていく。


へたり込む咲世子に朋也が手を差し伸べた。
「立てる?」
そう言って立ち上がるのをサポートしてあげる。
そして言った。

「日向と付き合い長いけど、あんなに怒ったの初めて見たよ。」

次何かあったら本当に殺されるかもね。

そして咲世子の肩を掴んで

「あいつは諦めな。他にイケメンで金持ちくらい、この大学なら山程いるじゃん。あっ、オレは遠慮しとくよ。君タイプじゃないから。」

朋也が追い打ちをかけてトドメを刺す。
咲世子は、真っ赤な顔して食堂に駆け込んで行った。
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