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The one …ただ一人の…
第5章 好きという事
アルバイト先の「ライル」
日向は心ここに在らずだった。

ガチャン
洗ってた皿が割れた。
マスターにため息をつかれる。
「すみません…。」
呆れた顔でマスターが呟く。

『曄良の職場さ。渋谷駅前のcrown。今日は17時上がりって言ってたなぁ…。』

日向は目を見開いてマスターを見る。

『行けば?どうせ、このままじゃ仕事にならないでしょ?』
『あっ皿代給料から天引きだから!』

少し涙目になりながら、日向は頭を下げた。

「ありがとうございます。」
次の瞬間、扉を開けて駆け出していた。



「お先に失礼します。」
残ってるメンバーに声をかけて曄良は職場を後にする。
駅に、向かって歩き出すと、ふと目にとまる。
路地裏の所…何で?みんな見ないフリしてる。
えっ?、不味くない、あの状況?
そう思うのが先か全速力で走り出した。



渋谷駅に、着いた日向は人ごみの中で曄良を探しながら、マスターから教えてもらった店を探す。
「行き違いになったかな??」
日向は、腕時計に目を遣り、17時を10分過ぎた時計を見てため息を吐いた。
ふと目の前を知った顔が通り過ぎた。

「あっ、曄良さん。」

声を掛けようと思うと、曄良は物凄い勢いで走り出した。
えっ、オレの事無視?
そんなに避けられているのかと思った。
曄良が走っていった先に目が行く。
次の瞬間理由がわかった。
曄良のその視線の先には所謂チンピラに絡まれている女子高生が・・・。
「まさか?助けるつもり??」
曄良さん、オレを投げられなかった事忘れたの?
曄良は空手をやっているが、流石に鍛えた男を投げ飛ばすまでは行かない。シロウト相手なら、勝てるだろうけど。チンピラって…

「もう、本当に。」

そういうと曄良の後を追った。
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