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第6章 危険な香り

その女の客が居なくなった途端、常連客から
よっマスターよく言った！！
と拍手喝采になった。
みんな少なからず、迷惑を被っていたからだ。

「失礼しました。驚かせてしまったお詫びに皆さんに一杯奢りますんで注文して下さい。日向注文とって！」

日向が了解の意味を込めて、敬礼してみせる。

「私も手伝う。」

と言って、曄良も伝票を持ってお客さんの注文を取り始める。
曄良が注文を取ると知って、男連中の目つきが変わる。
「曄良ちゃん、こっちも注文取って〜」
「こっちも！」
酔った男共は、曄良に手を振り、呼び寄せる。

『あー酔っ払いの側に行くなっ。』

日向とマスターの声が揃って、思わず顔を見合わせて恥ずかしそうに頭を掻いた。

かくして、この日の「ライル」にいた客は大いに盛り上がり、その騒ぎは深夜まで続いた。