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The one …ただ一人の…
第6章 危険な香り
日向と曄良の何度目かのデート。
ランチを食べている時だった。
「はぁーっ」
その深いため息は曄良から出たものだ。
いつになく落ち込んでる?いや悩んでいるのか?
日向はじっと見つめて首を傾げた。
「曄良、大丈夫?」
「あっ、ごめんね。何でもないの。」
そう言うと、慌てて目の前にあるパスタを口に運ぶ。
何でもなくないだろっと心の中で突っ込みを入れてみるが、曄良が心配をかけまいと気を使っているのがよくわかるから、それ以上聞けないでいた。
もっと頼って欲しいんだけどなぁ。
と心の中で呟く。
「はぁー」
今度はオレの口からため息が出た。
『お揃いだね。』
んっ?と聞き返すと
『ため息』
と言って舌をちょっと出した。
かっ可愛い…。反則だ、その顔。
顔を見合わせて笑いあう。

食事が終わり、店を出て少し歩くと、曄良の手を掴み路地裏の陰に連れ込むと、曄の唇を奪った。
日向の肩を叩いて小さな抵抗をするも、次第に力が抜けていく。唇が離れた途端、
「見ら…れちゃ……うよ。」
乱れた呼吸で途切れ途切れ話す曄良に再びキスを落とす。
もう抵抗はなく、力が抜けて行くのがわかるから、腰に手を回し、抱きしめる。
曄良の唇からゆっくり離れると、日向は言った。

『頼ってよ。オレは頼りない?』

そんなことないよ。首を振って否定する。

「ごめんね。心配させて。仕事の事だったから…」
歩きながら話すね。

そう言って、話し始めた曄良の話しに日向は嫌な予感しかしなかった。
曄良はウエディングプランナーの仕事をしていて、今回担当したクライアントが結婚式の打ち合わせ中に喧嘩を始めた。
仲裁したが、怒りが収まらず、彼女の方が飛び出して行ってしまった。
残された彼氏は後悔して落ち込んだ。
曄良は、精一杯励まし、彼女と仲直りをするよう促した。
曄良は彼女にも会って、彼と良く話しをするよう伝えた。プランはお互いの意向が叶うように善処しますってとこまで話し、彼女も向き合う事を考えてくれた。
結婚式では新郎新婦の意見が違ってケンカになるのは、よくある事なんだと曄良は言った。
が、事態が変な方向へ向かい始める。
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