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The one …ただ一人の…
第6章 危険な香り
彼氏が励ましてくれた曄良に惚れてしまったのだ。
ありえないだろ、結婚誓った女がいるのに…。
って言うか、曄良はオレのだ!
初めは、電話でアプローチされていたらしい。
だが段々エスカレートして来て、最近は職場の外でウロウロしている。
上司に相談して、目を盗んで裏口から帰ったり、タクシーで帰ったりで何だかウンザリしていたらしい。

「一応クライアントだから、投げ飛ばす訳にも行かないし。」

いや、投げ飛ばしても良いだろうと言うと、困った様に笑った。
でも、そうだよな。オレはまだお気楽な学生だから、あんまり後先考えないけど、曄良は社会人で、きっといろんな苦労をしている。
クライアントを獲得するのも中々大変なんだという話しも聞いたこともある。
そして、今オレに出来る最善の策として提案した。

「曄良、オレ、今はお気楽な学生でアルバイトしてるだけだし、アルバイトも曄良の兄貴の所だし、訳いえば融通効くと思うんだよね。」

??みたいな顔で、オレを見つめてる曄良。

「ボディガードいるでしょ?」
「帰り迎えに行くよ。決まりね!」
曄良の返事も待たない内に決定事項としてマスターに連絡した。
もちろん快諾。だよね。本当ならマスターが行きたいくらいだろ。
マスターの曄良の溺愛ぶりは、たまにオレもヤキモチ妬くくらいだ。
『もう。二人して勝手に…。』
でも、少し嬉しそうに笑う曄良に軽くキスをする。

「少しは役に立てたかな。お姫様。」

『…ありがとね。』

そう言ってギュと抱きついてくれたから、嬉しくて手に力が入る。
このまま、押し倒したいっ!
そんな衝動を抑えながら、もう一度キスをした。
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