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The one …ただ一人の…
第6章 危険な香り
ストーカー騒ぎから1カ月たった頃。
突然、曄良の職場に安井が来た。
スタッフ全員、顔が凍りつく。
「こんばんはー。あっ、そんなに警戒しないで下さいよ。早瀬さんいます?」
声を掛けられて、曄良は返事をした。
「はっ、はい。」
みんなに緊張感が走る。
「実は、彼女と寄りが戻って、プランを再度早瀬さんにお願い出来ないかなと思って。」
スタッフ全員、疑いの眼差し。
「やだなぁ。そんな顔しないで下さいよ。」
所長が口火を切る。
「新婦の睦美さんはご一緒じゃないんですか?」
あーなるほど。ナイスな質問とみんな所長の顔を見る。

「実は、彼女妊娠しちゃって、つわりが酷くて、来れないんですよ。なので、式も安定期が入るまで延ばしてもらって、あっもちろん手続きで必要な料金は全てお支払いしますから。」

もっともらしい。信じて良いんだろうか?
スタッフが不安そうに見守る中、曄良は決意した様に声をかけた。
「わかりました。第一応接室へ。」
安井を応接室へ通し、ファイルを取って来ます。と一旦外へ出る。
所長に一言告げる。
「何かあったら、投げ飛ばしても良いですか?」
所長は
「もちろん。でも大丈夫?私も一緒に…」
何かあったら大声出します。
そう伝えると、応接室に入った。

「ごめんね。早瀬さん。付け回したりして。怖かったよね。」
安井は、申しわせなさそうに言った。
安井は用意していたお茶を一気に飲み干した。
私もつられて、お茶を飲んだ。
その時、喉が焼ける様な感じがして、体の力が一気に抜けた。しびれて力が入らない。
「あっ…あっ…」
声が出ない。
「ガチャン」
湯のみが落ちる音と同時に安井は立ち上がり応接室のカギをかけた。

『あきら。やっと2人になれたね。』
曄良は絶望に打ちのめされた。
油断した。これじゃ投げる事出来ない。
唇を噛み締め、安井を思いっきり睨む。
『そんな顔しないで。もっと喜んでよ。』


湯のみの落ちた音は応接室の外にも響いた。
前で待機していた所長がドアを開けようとすると、カギが閉まった。
「曄良ちゃん!曄良ちゃん!」
応接室のドアを叩くが反応がない。
「警察に連絡を!あとカギ、応接室のカギ持ってきて!それから結城さん王子に電話!!」
みんな一斉に動き出す。
「こらっ、安井!曄良ちゃんに手出したら許さないからね!安井ぃー!!」
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