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The one …ただ一人の…
第8章 波乱のプロポーズ
はあーっ遅いなぁ。
そう呟き病室のベットで既に退院の準備を終えた曄良が座っていた。

コンコン
ノックの音がして、扉が開いた。
「準備出来た?」
日向が顔を見せると、曄良はぱぁっと顔を輝かせて、日向を見つめた。
なんか、日向に違和感を感じた。
「準備出来たよ?」
荷物を持とうとすると、日向がスッと手を出し、荷物を持った。
「さっ、行こうか?」
「うん。」
日向に肩を抱かれ、病室を後にした。


エレベーターに乗ると地下のボタンを押す日向に、地下って駐車場だよ?と聞くと。
「うん。車で来てるから。」
日向って、免許持ってたの?
ちょっとビックリして見上げると
「そんなに意外?」
と聞いてきた。
そうじゃないけど。と視線を外す。
日向の事、まだまだ知らない事多いなぁと思っていると目の前に、真っ黒な如何にも高そうなスポーツカーが見えた。
『えっ、この車?』
「そうだよっ?」
と言うと持っていた荷物をトランクに入れた。
『えっ、誰の?』
「えっ、オレのだよ?」
ってニコっと笑うと助手席にエスコートされた。
助手席に座ると、やっと日向の違和感に気がついた。
服装だ。
今までは、GAPのトレーナーとGパンとか所謂庶民的な服装だったのに今日は違う。
多分、このジャケットはアルマーニだ。
学生では到底買えない。
曄良は仕事柄、服装やらプランドには結構詳しい。
明らかに何時もと違う高級感漂う日向に戸惑っていた。

家と違う方向に向かっているので、日向の顔を覗き込むと、
「あっ、ごめん。今日はこのままデートね。1週間我慢したんだから、良いよね?」
『うん。』
「なんか元気ないね?」
信号で止まると、日向は曄良を見つめた。
『なんだか、何時もの日向と違う感じがして。』
ふっと笑う日向は、チュっと曄良のおでこにキスをした。
「何時もと同じだよ。何も変わってないよ?」
そう言って、不安そうな曄良の手を握った。
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