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The one …ただ一人の…
第8章 波乱のプロポーズ
曄良が仕事が終わって、職場を出ると後ろから声を掛けられた。

『早瀬さん?早瀬曄良さんですか?』

えっと。
顔を見ても思い出せない。こんな若いクライアントさんいたっけ?

不思議そうな顔をして、若者を見つめていると、自己紹介された。
その人は朋也さんと言って日向の大学の友人だと言った。
『いやあ、すみません。今日あいつ大学来なくて、LINEも返信ないし、心配してて、確か渋谷の駅前のウエディング関係で彼女さん働いてるって聞いてたんで。』
良く私だってわかりましたね。
と聞くと、出て来る人みんなに聞いていたみたい。

『綺麗な人って聞いてたから、でもあそこのショップ、でてくる人みんな綺麗だったから。』

思わず笑ってしまった。

「日向は多分風邪を引いて、休んだんだと思いますよ。昨日熱出してたから。」

朋也が、ああっと呟き、そうだったんですね。と言った。
本当は、朋也は知ってた。日向が風邪引いて休んだ事。

この前、日向を振ったと聞いて、どうしても会ってみたくなった。権力と財力に靡かない女。
日向が熱出して寝てるなら、鉢合わせする事も無いだろうなんて考えて。で、待ち伏せした。
本当に5歳も年上?と思うほど可愛らしい。
華奢な身体にクリクリの目、栗色の髪は柔らかに毛先を巻いている。
触りたい。あーダメダメっ。
日向に見つかったら殺されるな。
ちょっと嫌な予感を覚えながら。
ちょっと時間あります?
と聞いてみると、はいと言う彼女。
あっ、なんだろ?仕草が堪らない。
「ちょっと呑みに付き合って下さいよ。ダメですか?」
少しなら。と言って、見上げてそしてすぐに視線を外す彼女。
ああっ…可愛い。
あっダメ、オレの理性、頑張れ!
朋也は、拳を握りしめ、上を向いて耐えた。
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