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第8章 波乱のプロポーズ

『チッ、なんでこんなに早く場所わかるの？』
苛立ちながら、曄良の腹を蹴り飛ばし、ヒールで踏みつけた。

「痛っ…アアァァァっ」

曄良の叫びが響き渡る。
扉が勢いよく開くと同時に、曄良の手と足のロープが緩み自由になる。

「曄良っ！」
「日向っ！」

走り出した曄良。

なんでっとビックリした顔で曄良を見る女。

両手を広げて迎え入れる日向。

「曄良っ！」

日向は曄良を抱きしめたが、すぐに違和感を感じた。
抱きしめた手に血がついてる。力なく崩れ落ちる曄良。

女が男から奪い取ったナイフで、
走り去る曄良の背中目掛けて刺したのだ。

女の高笑いが聞こえる。

外にパトカーのサイレンが響く。

そして駆けつけた警察に取り押さえられる女。

血まみれの曄良を抱きしめたまま、座り込む日向。
「曄良っ、頼む。目を開けて？」
かすかに呼吸を感じるが、今にも消え入りそうだった。

「曄良っ、嫌だよ。オレを1人にしないで、、、頼むよ。」

僅かに目を開けて、日向を見つめる。

「曄良っ」
『ひなた…』
『ひ…なた…大…好き…』

その言葉を伝えると、曄良は力なく項垂れ、意識をなくした。