この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第9章 眠る男
はっきり言って、男の髪は手入れの手の字も知らないような状態だった。
不潔なわけではないのだが、中途半端な場所から髪がぴょんぴょんと飛び出している。
それでも…一本一本がまるで絹糸のような細さと柔らかさだから、もっさりという印象にはならなかった。
角度によっては銀色にも見える、色素の薄い金髪だった。
スー、スー、スー
“ 気持ち良さそうな寝息ね… ”
閉館間際だが声をかけられない。
そもそもここは立ち入り禁止なんだから、彼を見つけるこの状況からして可笑しい。
どうしたものか。
「‥‥‥」
「──…、あれ…」
寝息、止まった…?
「…何か、用 なの?」
「…っ…ぅ」
目の前の彼は、身体を動かさずに第一声を発した。