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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第9章 眠る男
その一声は、予想に反する低音だった。
「べつに用とかは無いんですけど…っ」
「…じゃあ、消えなよ」
「でも…」
「──…」
彼はやっと顔を上げてくれた。
長い前髪の隙間──茶色い瞳のタレ目が覗く。
きりっとした眉毛のせいだろうか。
タレ目にも関わらずその目から受ける印象は鋭く、冷たいものだった。
「……」
「…ぇ…と」
視線をバチりと合わされたのだが、男はそのまま動きもしなければ喋りもしない。
用件があるならさっさと伝えろ
そうでないなら、今すぐ消えろ
そんなテレパシーを送ってくる。
しかしミレイとしては一度話しかけてしまった以上、何も言わずにほったらかしにはできない。
“ でも用件なんて無いし ”
「何してたんですか?」
寝てたのよ、見ればわかるじゃない
「……」
「ここ…閲覧禁止区域ですよ?」
ちょっ、なに自分で墓穴ほってるのよ!
「……」
「わたしは…っ…探し物があって、こっそりこの部屋に来たんですけど…!!」
「…………」
「……っ」
まだ無言。
お願いだから…
何か喋ってほしい…!