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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第10章 奴隷宣告
こんな時に、そこらの女の子より勝る腕力が発揮されるのだ。
ミレイは肩を貸した状態のまま、背の高い彼をベンチまで引きずって行った。
…そして座らせる。
「…寮に戻らなくていいんですか?」
「……」
「こんな所で寝たら風邪をひきますよ」
「…俺は風邪をひかない」
どこからくる自信なのか。
このまま放置は心配だが、彼は自分が何を言っても聞いてくれないのだろう。そういう人だということは十分にわかった。
“ ここで別れよう ”
ミレイは自分だけ帰ると決めた。
けれど…その前に
「あの…っ、ありがとうございました」
「……」
「結局、助けてもらう形になって…。そもそもこんなに処分が軽くなったのも、あなたが一緒にいたからだと思うし…」
スパイ疑惑の件は置いておいたとしても
彼女は立入禁止区域に入ったのだ。もっと重い罰則があっても本来ならおかしくなかっただろう。
「お礼に何かしたいけど…わたし、あなたの事を何も知らないし。…せめてお名前だけでも教えてほしいです」
「…名前、を?」