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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第3章 その暴君、天才につき
ハルトと呼ばれた茶髪の男は、明らかに機嫌を損ねた顔で振り返った。
「んだよ、止めんな」
「…止めるでしょ、普通に考えて。ここは食事をする所なんだから騒ぐのはNGね。それに」
「……?」
しっとりとした濡れ羽色の髪を持ち──
細めた目の中には魅惑的な蒼い瞳。
右目の下のホクロが妙に色っぽいその男は、ミレイの髪を掴む茶髪男をさとした。
「それに、女性の髪をわし掴むなんて品性の欠片もないね」
「品性?…そんな女々しいモンいらねぇよ」
「いいからその手を離すんだ、ハルト」
「…チッ、うざいのが来たな」
ハルトという名で間違いはないらしい…彼は、黒髪ホクロの男に諭され、とうとうミレイから手を離した。
「あー、気分悪い…。やっぱ昼飯は外の売店ですまそ」
気だるそうに頭をかいて、横の黒髪男と──そしてミレイに睨みをきかせた。
「また後でな…。死にたがりのお嬢さん」
「──…ッ」
「ハッ‥」
不気味な捨て台詞にミレイが顔を曇らせると、ハルトは黒い笑みを浮かべて立ち去ってしまう。
「やれやれ…」
止めに入ってくれた黒髪の男も、溜め息混じりに彼の後を追って食堂を出ていったのだった。