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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第16章 Mission.2 ~ 逃避せよ

「──…注文は?」
「蕎麦」
「お嬢さんはどうする?」
「…え?…っ…じゃあ、同じものを」
いきなり聞かれて選ぶ暇がなかった。
そもそも、 机の上にも壁にも、メニューらしいものが見あたらない。
「まいどあり!すぐできるからな」
「料理ができたら……起こせ」
それについて聞こうとしたミレイだが、おじさんは厨房に消えて、隣のカルロは眠りに入ってしまう。
.....
“ 蕎麦を頼んだけど、ここってお蕎麦屋さん? ”
昔ながらの居酒屋にしか見えない店内を見回しながら、その静かな雰囲気を味わうミレイ。
蕎麦屋…なわけがない。
厨房には確かに、大きなフライパンが置いてある。
蕎麦以外も作るのだと思う。
“ でもメニューが無いんだよなぁ… ”
カルロが常連なくらいだ。この店もまた、ひと癖もふた癖もありそうだ。
「……」
すぐって、いつだろ。
「スー、スー……」
「………」
「へいお待ち!」
それから、二人の前に注文した蕎麦が運ばれてくるまで…
かれこれ一時間近く経過していた。

