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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第16章 Mission.2 ~ 逃避せよ

ツルっ

「…ぅ」

ツルっ

「わ、おしい…っ」


辛うじて箸に残った一本を口にいれても、味なんてわからない。

苦戦する彼女の横で、カルロはマイペースに食べるだけだ。

…関心がないから見えていないのだろう。

彼が初めて反応を示したのは

彼女が取りそこねた麺がつゆにピチャンと落ちて、はねたつゆがカルロの手にかかった時だった。



「…っ…何してんの」

「はねましたか?ごめんなさい」

「蕎麦が減っていない…。食べるの、遅いな」

「…っ」


正直な話…食べるスピードに関しては

普段のミレイは彼の倍ほど速い自覚がある。


「左手で食べるのは難しいんです…!!」

「また言い訳か…」

「──…ン…!?」


ミレイは彼に顔を向けた。


その時だ。


カルロは彼女の器から蕎麦を取ると、黙らせるように口に蕎麦を突っ込んできた。



「……!?」

驚いたミレイはすするのも忘れて、蕎麦を噛みきってしまう。



「──…ハァ…あんた、食べるの下手すぎ」

つゆに落ちた蕎麦を見てカルロが溜め息をつく。


「だから遅い…」

「ん…」


溜め息をつきながらも、もう一度同じように食べさせてくる。

いや、やはりそれは食べさせているというより、蕎麦を彼女の口に突っ込んでいるという方が適切なのかもしれないが…。


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