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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第16章 Mission.2 ~ 逃避せよ

狭い路地裏は、夕日も射し込まず薄暗い。

「あれ?でもお会計まだですよね」

「あんな不味い蕎麦に金をわたす必要はない」

「…ッ これ食い逃げじゃないですか!」

「…っ…黙りなよ、──…チっ、もう気付かれた」


ミレイの苦言を適当にあしらいながら、壁に背をつけたカルロは表通りを覗きながら舌を打つ。


「こっちに来ているな…。ハァ、面倒臭い」

「…あのっ…聞いてます?」

「聞いてない。…それよりあんた、時速何kmで走れるの」

「えッ、時速?…いや……計ったこと…ないです」

「なら、秒速」

「それはそれで よくわからないし…!! …えっと、5メートルくらいでしょうか…!?」


いきなり難しい質問を投げ掛けられて、食い逃げに怒っていたミレイは戸惑った。

でも早く答えないといけない雰囲気だったので、思い付いた数字を慌てて言う。


「……ならそれに合わせてやる。走れ」

「…っ」


カルロは突如、走り出した。

入りくんだ道をあえて選ぶように、右へ左へと路地を抜けていく。


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