この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第16章 Mission.2 ~ 逃避せよ

狭い路地裏は、夕日も射し込まず薄暗い。
「あれ?でもお会計まだですよね」
「あんな不味い蕎麦に金をわたす必要はない」
「…ッ これ食い逃げじゃないですか!」
「…っ…黙りなよ、──…チっ、もう気付かれた」
ミレイの苦言を適当にあしらいながら、壁に背をつけたカルロは表通りを覗きながら舌を打つ。
「こっちに来ているな…。ハァ、面倒臭い」
「…あのっ…聞いてます?」
「聞いてない。…それよりあんた、時速何kmで走れるの」
「えッ、時速?…いや……計ったこと…ないです」
「なら、秒速」
「それはそれで よくわからないし…!! …えっと、5メートルくらいでしょうか…!?」
いきなり難しい質問を投げ掛けられて、食い逃げに怒っていたミレイは戸惑った。
でも早く答えないといけない雰囲気だったので、思い付いた数字を慌てて言う。
「……ならそれに合わせてやる。走れ」
「…っ」
カルロは突如、走り出した。
入りくんだ道をあえて選ぶように、右へ左へと路地を抜けていく。

