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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第16章 Mission.2 ~ 逃避せよ


「あんたはさ、黙って俺に従いなよ」

息を切らすことなくカルロが言う。


足を止めずに背後に目を向けた彼は

「──くるぞ」

「‥‥!?」

ひとこと告げて、ミレイの身体を引き寄せた。


同時に鳴った銃声──

目の前に置かれた室外機に黒い玉がめりこんだ。


ゴム弾だ。


「…ハァ…撃たれ、た…!?」

いくら本来の銃弾とは異なれど
本能的に竦んで( スクンデ)しまう。


「あいつ等は狙いが正確。だから避けやすい。──おい止まるな」

「はい…っ」


普段どおりのカルロとは違い

彼女はどうやったって平静でいられなかった。

それでも休みは与えられない。


「次、──は、俺だな」


また銃声

今度はカルロが標的だった。


「……チ」

「…っ…怖くないんですか…」

「当たっても、死なない」

「そうだけど…!!」


銃を持った相手に追い回されているのに、彼は少しも動揺しない。

ゲームを楽しんでいるようにも見えない。

ただ綽々( シャクシャク )と、被護者を護衛しろというミッションをこなしているのだ。


「…死ぬような弾なら…少しは…」


「ハァハァっ…!…え…?」


「──…」


この状況にそぐわない平静さで、彼はぼそりと呟いた。


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