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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第17章 留守番

コンロの下にはおたまが転がっていた。

おもむろにそれを拾い上げ、ハルトはシンクに放り投げる。

「──…スープ」

「……!?」

「さっさと完成させろ…っ」

何かに苛立っているのか。

ミレイの腕を掴んで強引に立たせる。


「…それが終わったら二度とここには近付くな」

「どうして…っ」

「口答えするんじゃねえ!」


急に何かを思い出したように、態度の変わったハルトだった。

“ 何があったの? ”

大声で怒鳴られたが、今は怖くない。

立たされたミレイは乱れた服に手をそえて、ハルトに向き合っていた。


ああ、そうか

もしかすると彼は──


「…お母さんの事を思い出すの?」


「……は?」


「わたしがここで料理していたから、あなたのお母さんの姿を連想させてしまったのかなって…」


彼等の母親は、ずっと昔に亡くなったのだと

前にスミヤが彼女に話した。


彼女が来るまでしばらく使った形跡のなかったキッチン──もしかすると、彼等の母親がいなくなって誰もここで料理してこなかったのかもしれない。



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