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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第18章 not genius, but....

立ち向かっている…
いったい、何に?
《 俺が勝手に覚えている。ナメられないために 》
いったい誰に…?
きっと彼の周りには彼を認めてくれる人がいなくて
でも彼にできることは、実力をつけることしかなくて。
「…なんて顔してんだ」
静かに口を閉ざしたミレイを、ハルトが横目で見やる。
彼女の真剣な表情を小バカにしつつ、手元の辞書を開いた。
「先に言っとくが、同情だけはするなよ」
彼は知らない単語を調べて、ノートに記していく。
「俺にとって、同情は最大の侮辱だからな」
「同情……じゃないけど」
「……」
「ただ、寂しかったんだなって、思って…──」
実力主義のLGAでは、ハルトに逆らう生徒はほとんどいない。
愛人の息子だろうが関係ない。
皆が、ハルトを認めているのだ。
でも
一番近くで支えてくれる筈の
家族がいなかったんだ。
母親も、兄弟も
「──…わたしと似てるなって、思って」
お母さんが死んでしまってから…
わたしだって寂しかった。
目標をつくって、それに向かって努力する日々。
評価してくれる人だっていたし
そのたびに嬉しかった。
それでも…結局、わたし達は寂しかったんだ──。

