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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第20章 猫と、彼の闇

ミレイはのろのろと腰を上げた。
「っ…」
板張りの上に座って寝たものだからお尻と腰が少し痛い。
カルロがいつも怠そうなのは、ちゃんとした場所で寝ないのが原因なんじゃないかと、この時 彼女は思った。
“ そういえばどこに行ったのかしら ”
今度こそちゃんと部屋に戻っているのだろうか。
ミレイは廊下に並列した障子の部屋を覗いてみる。
…が、そこには誰もいないどころか何もない。
畳張りのその部屋を横断して
ミレイは広縁( ヒロエン )に出た。
外は夕暮れ時をすぎた頃──
広縁から見える裏庭に、ぽつぽつと照明が埋まっているのが見えた。
草の隙間からその赤っぽい明かりが漏れている。
“ けっこう長く寝てたんだな…わたし ”
板張りの広縁をぺたぺたと踏む自身の足音。
そして目を凝らすと…
遠く向こうの縁側に、前はなかったはずの椅子が置いてあった。
そこに誰かが座っている。
「カルロさんだ…」
もし眠っているなら、近付いただけで起こしてしまう。
ミレイは足を止めて彼の様子を伺った。

