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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第20章 猫と、彼の闇

ミレイは初め、彼の指が猫の首を絞めていることに気付かなかった。

驚いたせいか猫はじたばたと暴れなかったし、鳴き声すらもなかった。

ただ彼女は、縁側を包んでいた和やかな空気が一瞬にして凍りついたのを感じた。


冷たい…とても、冷たい。


“ 遠くて、見えにくい…… ”


ごろごろ甘えていた猫の手足が硬直しているように思える。

そんな猫の身体が、彼に捕まれたまま僅かに宙に浮いたのだ。



“ なん、で‥!? ”



「カルロさん…!?」



いよいよ異変を察知したミレイが一歩 踏み出す。



下を向いた彼の横顔

その口許が邪悪に歪む。



「‥ク」



そしていつも生気の感じない無気力な茶色の瞳が、庭を照らす灯りのごとく熱をおびた。



ミレイはその表情に覚えがあった。


“ スミヤさんに似てる…っ ”


地下にある牢の中で、乱れるミレイを見つめたスミヤの顔と酷似する──。



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