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第20章 猫と、彼の闇

ｶﾀﾝ...

ミレイは目を見開き、掴まれた右肩を震わす。

カルロは確かに怒っているが……だが逆上はしていない。

冷たく鋭い目差しで、圧倒的な威圧感をもってミレイを怯えさせる。


ミレイは何も喋れなかった。



「…あんた、…怖いのか」

答えられない彼女を容赦なく追いつめる、優しさの欠片もない低音の声──。

「ﾌﾝ…今さらだな」

その言葉には、彼女への蔑みさえ感じられる。


カルロがミレイを問い詰めている間、足元に横たわっていたぶち猫が弱々しく立ち上がって歩き始めた。

ふらりと縁側から飛び降り
裏庭の東の方へ去っていく。


カルロはそれを横目で確認して、先ほどと同じ様に口許を歪ませて笑った。


「あんたはあの猫と同じだ…。勝手に俺になつき、のこのこと近付いてくる」

「……!?」

「……無防備にも、ほどがあるな」


語尾を掠れさせて、耳許で含み笑う。