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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第20章 猫と、彼の闇

いつからかは自分でも知らない。

初めて会った図書館で?
手錠で繋がれ逃げる最中( サナカ )で?

それとも3年前──あの日から、ミレイの中でカルロは既に特別だったのか。

…わからないけれど、きっかけなんてさほど重要ではない事を彼女は知っていた。


「好きなんです」


この感情こそが、何よりも大切で


「好きになってしまったんです…!!」


これ以上ないってくらいに、扱い辛い。


好きだからこそ その過去を許せない。


この気持ちがあなたにわかるだろうか。






........




「あんた…おかしいんじゃ、ないの…っ」


取り乱してすべてを曝け出すミレイに、カルロの瞳が珍しく揺らいでいた。

数々の未曾有( ミゾウ )の事件をその判断力でこなしてきた彼でさえ、今の状況への正しい対応が見つからない。


「ふざけた事を口走る女──っ」


彼女はふざけていない。


「俺はあんたみたくベラベラと口は回らない。だが、あんたは間違えている。それだけはわかる…」

「何を言われてもわたしの気持ちは変われません。避けられても、脅されても」

「……生意気だな」

「絶対に逃げない…。絶対に…!」

「…っ、いい加減にしなよ」


泣き張らしつつもなお力強い瞳を向けてくる彼女に、焦燥したカルロが詰め寄った。

また彼女を椅子に押し付けそうになるのを堪えて、背もたれに手をついた。



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