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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第22章 歪んだ愛

「だって今の君の中には、兄さんがいるから」
これでは愛と呼べない。
僕だけに夢中にならないと、愛とは呼べない。
「僕はちゃんと、君に愛をあげるからさ。──ね、君も僕に、愛をちょうだい…」
「……」
“ なんだろう、この違和感── ”
僕を愛してというスミヤさんから愛情を感じない。
彼はわたしを愛していない。
むしろ見下している。
なのに…どうして彼は「愛して」と言うの?
「…スミヤさんは、今まで何人の人に、同じことを言ってきたんですか」
「…数えきれない」
「軽蔑、します…!」
「それは残念だ」
ふたきれ目の果実を食べようとしないミレイ。
スミヤは棚に皿を置くと、ベッドに片手をのせて身を乗り出した。
「大概の人間は、一度 抱いてあげれば僕の虜になったのにね。君は変わっているよ」
「…!!」
ミレイは警戒して身を引いた。
自分は今、裸も同然なのだから。
しかしその心配は杞憂なようだ。
「顔をこわばらせてどうしたの?そんなに警戒しなくても、今の君を抱く気はないさ」
スミヤはミレイの髪を撫でながら、身体を丸めて怯える彼女を可笑しそうに笑った。
「抱いている最中に…もし君が、間違って兄さんの名前でも呟こうものなら…──」
...フフ
「怒りにまかせて、君を殺してしまいそうだし?」
ミレイの顔がさらにこわばる。
髪を撫でている彼の手の体温が、ありえないほど冷たく感じた。

