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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第22章 歪んだ愛

だからミレイは何も言うことができずに、ベッドの上で押し黙る。
その反応をスミヤは予想していたので、気にする素振りもなく話を続けた。
昔の話。
それはかれこれ9年も前の出来事。
スミヤは13才の子供だった。
ハルトはおてんばな8才で、カルロも…寡黙で大人びた15才の少年だった。
今と変わらない風貌のここ東城家では、一匹の猫を飼っていた。
青みがかった灰色の毛並みが美しい、ロシアンブルーの雌猫。
この家の住人は誰も律儀に世話をしなかったが、狩りの上手いその猫は勝手にエサを調達してきた。
ロシアンブルーは根がシャイで、人見知りが激しいことで有名だ。
けれど不思議なことに、その猫はカルロにだけ心を開いていたのだった。
カルロにだけ、尻尾をふり
カルロにだけ、可愛らしく鳴いた。
カルロにだけ腹を見せて眠る──
そんな猫を、カルロは追い払ったりしなかった。

