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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第22章 歪んだ愛

時おり頭を撫でて、時おりブラシもかけてやった。

彼は彼なりの方法でその猫を可愛がっていた。

笑顔も見せないし、名前だって呼んだことないけれど、カルロは猫を愛していたと思う。




けれどあの日

スミヤは見てしまったのだ。




凍えるような冬の夜の

粉雪が薄くかかった縁側に──裸足のカルロ。




彼の腕の中には、すでに息をしていない灰色の猫が抱かれていた。

そしてカルロは、もう動かない哀れな猫の、その名前をぼそりと呟いた。

名前を呼ぶのを初めて聞いた。

その時の彼の声ほど、愛しみのこもった声をスミヤは知らなかった。





……───




「…ちょうど僕らの母親が死んで4年後の命日だったよ」


「スミヤさん達の、お母様が…?」


「前にも話したろう?母は病気で死んでしまった。…もともと身体が弱かったんだ」


「…それが…っ…猫と、何の関係が…!?」


「──…」


昔の話を終えて…

ひといき入れたスミヤは、切ない顔で目を伏せた。


「…さぁ。それに関しては推測でしかないから、僕の口からは何も言えない」


勘の鋭い自分自身を憎むように

スミヤは皮肉を込めて、口の端を歪ませた。




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