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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第22章 歪んだ愛

「でもこれだけは確かなんだよ」
スミヤがふいに立ち上がった。
持ってきた果物はそのまま棚に置きざって、腰かけていた白色の椅子を元の場所に戻す。
「兄さんの愛は歪んでいるんだ。…僕と同じ様に」
ミレイに向けられたのは憐れみの目──。
自分を、カルロを、そして彼女を憐れむ気持ち。
「それを自覚しているから、兄さんは誰も近付けない。何にも興味を持とうとしない。…君は」
「……」
「──…君は、兄さんの中に土足で踏み込んで、殺される覚悟があるのかい?」
《 どうせないだろう 》
スミヤの問いは、そんな確信を含んでいた。
ミレイが答えを返せるはずもない。
スミヤは彼女の返事を待たずに、静かに部屋を後にした。

