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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第23章 元凶

付けたのはハルトだ。
《 こいつの身体中に俺の印を… 》
そう言ってあの時、彼はミレイの肌に何度もきつく吸い付いたのだ。
「…これは、っ…違うんです」
首筋を隠しながら、 ミレイはその場しのぎの言葉をこぼす。
…何も、違わない
そんなことは自分でよくよくわかっている。
「これは蚊に!…蚊に、刺された痕で」
「……」
言った瞬間にバレる嘘なんて、言うだけ虚しいだけだった。
“ なんでこんな簡単に見られちゃったの? ”
呆れられただろうか
“ ……理事長、何も言わない… ”
ミレイが恐る恐る上を見ると、こちらを見下ろす冷静な瞳と目が合った。
ポンと、頭に手を置かれる。
「悪戯好きな蚊もいるようだ。これ以上君を困らせないよう、私が牽制しておくとしよう」
「理事長…!」
ミレイの心配は必要なかった。
彼はミレイの嘘をウソとしないで、話を合わせてくれたようだ。
深く追求しない…その優しさが、嬉しかった。
「…はい…!ありがとうございます」
そんな大人の優しさに触れて、彼女は素直に笑顔を見せた。

