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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第23章 元凶

「母はどんな人でしたか?」
基本的に母の詳しいことを知らされていないミレイは、まさかの知人が現れて興奮ぎみだ。
自分が熱であることも忘れて、いっこうに横になろうとしない。
「…彼女はとても、優秀な生徒だった」
ヒデアキは問われるままにひとつずつ答えていく。
「母は入学して4年で銀バッジを貰ったのだと…」
「その通りだ」
「結構おてんばな感じでしたか?」
「──…いや。知的で物静かな…しかし、正義感は人一倍のものを持っていた」
「へぇ…っ」
自分の知らなかった母親像が、彼の口から語られていく。
その事実が新鮮で、ミレイは嬉しくて仕方がない。
「ずっと昔の事なのによく覚えていらっしゃるんですね、理事長」
「忘れるわけがない」
彼の方はというと、ベッドに座るミレイにその視線を注いでいた。
彼女は母親と似ているらしいから…
懐かしんでいるのだろう。
「…忘れる筈がない。彼女ほどの女には、私は出会ったことがない。今までもこれからも…」
「……?」
「……アンナ」
その時、彼が呟いたのは母の名前──。
その声があまりにも甘くて、ミレイはその瞬間、聞き間違いかと思ってしまった。

