この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第24章 血の因果( インガ)

彼は兄の横を通りすぎてミレイの後ろまで来ると、彼女の肩を抱いて、銃弾の道筋から退けさせた。
「スミヤさん…」
「…あー…、また泣かされたんだね。可哀想に」
ミレイの顔を覗きこんで溜め息をひとつ。
すぐにヒデアキに顔を戻して、いつもの笑顔で紳士的にふるまった。
「お久しぶりですね、父さん」
「……ああ、そうだな」
「相変わらずお元気そうで何よりです」
「…フ、それは何の嫌みかね? スミヤ」
「嫌みに聞こえますか?…なら、そろそろ本題に」
他人行儀な挨拶をこなした後、スミヤは冗談なのか本気なのかわからない口調で話し出す。
「世界各国を飛び回り、あらゆる場所に赴くあなたの事だ。そろそろ…牢屋の中まで潜入するのも悪くないのではという提案ですよ」
「……」
「なんなら脱走でもして、警察の鼻をくじくというのも一興ですね。いかがですか?」
「…本気なのか?」
悪ふざけとしか思えない息子の態度に、ヒデアキは初めて顔をしかめた。

