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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第25章 書庫

ここの書庫にあるのは学問の専門書がほとんどで、彼女が読めるような内容はあまりない。
それ以前に、何語かわからない文字を並べられている時点でお手上げだ。
ミレイが読み始めたのは、とある偉人の一生をつづった伝記だった。
指の腹で紙をめくるとピラッと音がする。
その音を聴くと…少しだけ落ち着く気がする。
その間、カルロは彼女の横顔を警戒するように見ているわけだが、ミレイは知らんぷり。
そうしてしばらく時間を過ごして──
もしかしたら、ミレイがそう感じただけで、ほんの数分しか過ぎていなかったかもしれないが。
カルロはまた溜め息を零して…
ようやく折れたようだ。
「一番、上」
「…?…ぇ」
「……左から、五番目」
「…!」
驚いて振り向いたミレイと目を合わせて、不機嫌顔で呟いた。

