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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第25章 書庫

「…これ…英語でもないんですね。──ン…っと…、何かの専門書ですか?」
「俺が書いた」
「ええ!?カルロさんが?」
何の気なしにした質問に、まさかの答えが返ってきた。
本気にしてしまったミレイは大慌てで振り返り
「…!!」
──彼の表情を見て、冗談なのだと気付く。
「…クッ…あんた、やっぱ馬鹿」
“ カルロさんが笑ってる… ”
こういうふうに笑ってくれたのは久しぶりだ。
授業のミッションで彼と手錠で繋がれた日、この笑顔にからかわれたのを覚えている。
「もう…。そんな事言うなら取りませんよ?」
「それほど読みたいわけでも…ない」
「だったらわたしを使わないでください!」
「五月蝿い…」
カルロは頬杖の腕を変えて向こう側を向いてしまった。
ミレイはふふっと含み笑い、本棚に向き直る。
「…それにしても素敵な部屋ですね、ここ」
もう一度腕を伸ばして、本の背表紙に指の先を引っかけた。
そうして少しずつ引っ張り出す。
「今どき紙の書籍がこんなにそろっているなんて珍しいですよ。…あっ、もしかしてカルロさんが集めたとか…?」
「俺ではない」
「そっか…なら、スミヤさんとか…」
「──…親父だ」
「……っ」

