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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第25章 書庫

見せ付けられた両親の愛は
一種のトラウマのようになった。
殺すことが、愛なのか…!?
そんな筈はないと、" 正常な " 愛を求めたところで…
求めれば求めるほどに、手に入れる方法がわからなくなっていた。
満ちてもすぐ渇く。
渇いて…渇いて…気付けばそこは一面が砂色の味気ない世界。
何にも関心がなくなった。
何にも興味を持てなくなった。
母さんの死から2年が経ち
そんな時──あの、猫が。
「──…?カルロさんに懐いていた、昔の飼い猫の事ですか…!?」
「あいつは老猫だった。最後はほとんど動かなくなって、俺の足元で丸くなっていた…」
砂色の世界。
振り返れど、足跡はすぐに消えてゆく──。
こいつも同じようになるのだろうかと、俺は老いた猫を見ながら考えていた。
このまま…お前も消えてしまうのか。
それを思うと、俺の手は無意識に猫を抱き上げていた。
そしてそのまま、絞め殺していた。
『 ──… 』
猫はあまり暴れなかった。
眠るように死んでいった。
同時に、俺は痛感した。
ああ、…やっぱりそうなのか。
俺はあの男と同じだった。
「俺はあいつと似ている。愛する者の全てが欲しくなる…。心も、身体も、命も。
そういう宿命なのだと、思い知らされた」
どうせ消えるなら、せめて…俺の手で消してやる。
俺が求めるのはその瞬間だけだ。
その瞬間だけは、一面の砂景色に鮮やかな色が散るんだろう。

