この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第25章 書庫

“ そうだ、どうせ…消えるなら… ”
「──…」
「…ッ…カル ロ…さ…ん」
カルロは、ミレイを抱き締めていた手を背中から首へと移動させる。
“ 母さん…… ”
そして彼女の首を撫でるように指でたどった後、ゆっくりと力をこめていった──。
“ 俺が、殺してあげたのに ”
親父は母さんを愛してなかった…。そんなあいつに殺させるぐらいなら、俺が…殺したのに。
「…あんた、殺してやろうか」
「‥ッ‥ハァ‥‥‥」
「あんたを殺したら…何かが変わるかもしれない。
親父に横取りされた愛情を…取り戻せるかもしれない……」
ギリッ‥‥
「なぁ…?いいだろ……?」
ミレイが聞いたのは…すがるような声だった。
いつもの気怠げな低音が、ミレイの鼓膜を切なく震わす。
受け入れてほしいのか
拒絶してほしいのか
どうすれば彼の心を慰められるのか、ミレイには選べない。
......
「──…何に、泣いてんの」
首を絞めるカルロの手首に、ポタリと涙が落ちる。
それはミレイの目尻から零れた涙だった。

