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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第25章 書庫

ミレイは彼の手首を両手で持った。
正確には──持つと言うより触れると言った方が近いだろう。引き剥がそうという強い意志は感じられない。
労う( ネギラウ )ように触れながら
ミレイは静静と涙を流す。
「…あんた…いつも泣いてる」
カルロはぼそりと呟いた。
「俺が怖くて…、死ぬのが嫌で、泣いてんの?」
首を絞められているから、ミレイは嗚咽すらこぼせない。
彼女が答えられないと知っていながら、カルロは問い続けた。
「…それとも、あんたお得意の同情か」
「……」
「聖人クラスに優しいあんたは……、他人の事だろうと涙を流せるってわけだ…」
たいした皮肉だった。
カルロは切なく眉を寄せて、苦しむ彼女の顔を見つめた。

