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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第25章 書庫

──…違う
こんな顔が見たいんじゃない
こんな涙が見たいのではない……
「──…」
何処からか声が聞こえたような気がする。
しかし、目の前で苦しむ彼女の表情を愛おしく思ってしまう自分がいるのは、まぎれもなく事実なのだ。
“ 俺の中には、二人の人間がいるのか…… ”
そんな考えがふと浮かんだ。
馬鹿馬鹿しすぎて笑うこともできない。
「‥‥カ‥‥ロ、‥ッ‥サン」
「──…、…ミレイ」
微弱な声を漏らすミレイの口に
カルロは唇で蓋をする──。
「‥‥‥ン‥」
「…ハァ…」
もう……どうだっていい。
忠告を無視したあんたが悪い。
さっさと堕ちて──俺の物になってしまえ。
「───‥‥」
「……っ…」
カルロは、ついばむキスを繰り返した。
ミレイの方から返してくることはない。
それでもよかった。
カルロは、自分から強引に奪う方が好きだから。
チュ....
チュ..
ミレイの息が徐々に消えてゆく。
それは蝋燭の火のように……
最後の灯火を、カルロに移してやりながら。
彼の金糸の髪の毛一本でさえ、その吐息では揺らすことができなくなっていた。
「……ミレイ」
青白くなった彼女の頬
「‥‥‥サン‥」
「──……!! ……ッ」
陶酔した表情のカルロが、もう一度キスをしようとする…その刹那
彼の手首に添えられていた、ミレイの両手が…
完全に力を失い、滑り落ちてしまった。
“ ………!! ”
「…………まだ」
「‥‥ゴ メ‥、──‥サイ‥」
「…っ…まだ、行くな……──ッッ」
カルロは我に返った。
滑り落ちた手を掴み
首を絞めていた手を離した。

