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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第25章 書庫

「──…目、開けなよ」
「…ハァ、ハァ‥っ‥…ッ…」
「…目を開けて、…こっちを、見ろ」
濡れた頬に指を添えて、そっと撫でながら命令する。
「なんで泣いているのか。あんたが…何を考えてるのか。…目を閉じたままだと…わからないだろう」
「…、ッ─…ぅ、ぅ…」
「話すのが無理なら、まず…目を見せなよ」
呼吸が安定してくると、それに合わせてミレイの喉からは嗚咽が漏れ始めた。
つい数秒前まで、自分を殺そうとしていたのに…
こんなに優しい声で囁かれると、余計に涙が助長される。
「…ぅぅ…っ、…ぅ」
ミレイはなんとか震える瞼を持ち上げた。
彼女が目を開けると、涙の膜でぼんやりした視界の中には、余裕の欠けたカルロの瞳がふたつある。
「…ッ…カルロ、さん」
「……もう話せるのか」
こんなに余裕の無い目をしているのに、声だけは落ち着いているカルロを不思議に思った。

