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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第26章 迎え─ミレイの選択

ほんの少し─…寂しそうな表情で。
「…少しも反応が無いのを見るに、本当に何も知らされていないらしい」
「…あの…っ、ごめんなさい。わたし、人の名前を覚えるのが苦手で」
「いや…、君が知らなくても無理はないのだ」
人の名前を覚えるのが苦手、だなんて、咄嗟の嘘でしかないが。ミレイは申し訳無さにそう言った。
そんな彼女に男は左の掌をかかげて、謝る必要がないことを示唆する。
男がかかげた左手には…薬指に、指輪があった。
「あなたは…──」
「いきなり用件を伝えさせてもらうが」
「…は、はい」
「私は君を迎えに来たのだ。ミレイさん」
「……?」
迎えに?
「というと、警察に…でしょうか」
「──…いや、私の家に」
「……!」

