この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第26章 迎え─ミレイの選択

そして、これ以上ハルトと話すのも時間の無駄と考えた。
「この家を出て私の所に来なさい。ミレイさん」
「でも…!!」
ジンは彼女を " ミレイさん " と呼ぶ。
娘だからといって、急に馴れ馴れしくはしないらしい。
ミレイの方は彼にどう接するべきかわからず、丁寧な言葉遣いで話し出した。
「わたしはLGAに通っています。卒業するまで、この学園から出るわけには…──」
「何のために?ガードマンになるためかね?」
「…っ、そうです」
《 迎えに来た 》という本題に話が戻るも、ミレイもすぐに受け入れられる事ではない。
今の彼女の生活はLGA( ココ )が全てなのだ。
ここから出るという事は、その全てを捨ててしまうという事だ。
「わたしはまだ、ここにいます」
それに…ここを離れたくない理由は、他にもある。
けれどその理由を彼に話すわけにはいかないから、それについては口を閉ざした。
「母のような人になりたいんです。それがわたしの夢で…─そのために、たくさん努力もしてきたし」
「……」
「…だから、ごめんなさい」
「──…だが、アンナは殺されてしまった」
「……!!」
LGAを出たくないというミレイの話を
父親は静かな声でさえぎった。

