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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第28章 奪回

あんたを抱きたい…
だが、壊したくない。
“ なんだ?この──…虚無感は…? ”
あの女がいないと思うと、得たいの知れない虚しさが突き抜ける。
馬鹿馬鹿しい。
俺はもとから、空っぽだった筈だ。
砂色の世界を生きてきた筈だ。
なのに、いまさら……。
──何もする気が起きないカルロ。
額に張り付いた金髪を掻きあげ、湯の中でゆっくりと脚を組んだ。
その時、彼は風呂の出口から人の気配を察知して、目線だけをそちらに向けた。
「……」
すりガラスの奥──脱衣所に立つ人影が見える。
そして間髪入れず、脱衣所の人物は横に扉を開けて露天風呂に入ってきた。
ハルトだ。
ハルトはまだカルロがいることに気付かない様子で、かけ湯もせずに勢いよく湯に飛び込む。
そして一瞬の間を置いて
これまた俊敏に顔を横に向けると、そこにいた兄の存在に気が付いて目を丸くした。

