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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第28章 奪回

「おま…ッッ」
「……」
「死体みたいに気配消してんじゃねぇよ!」
「消していない。お前が鈍感な…だけだろう」
カルロは嘘をついている。
ハルトは鈍感ではない。ハルトがすぐに気付かなかったのは、カルロが気配を消していたからに他ならない。
「…チッ、なんでお前なんかと…!!」
二人で入浴なんて御免だが、一度入ってしまった以上引き上げるわけにもいかず、しぶしぶハルトは湯に浸かったままでいた。
「……」
「……っ」
贅沢に広い露天風呂の、端と端に座る二人。
敵対心丸出しの視線を向けるハルトに対して、カルロは気にせず目を閉じた。
ハルトは口こそ開かないが、不機嫌な様子で眉を寄せている。
悠々とくつろぐカルロが鼻につく。
その無関心な反応を見ただけで苛ついた。
そうして…穏やかでない沈黙が続いたあと、カルロの溜め息がそれを破った。
「──…言いたい事あるなら、言え。さっきからその視線…五月蝿い」
「…ンだと…」
「無いならさっさと出ていきなよ…。先にいたのは俺だからな」
「…ッッ…はぁ!? 勝手なこと言ってんな!」
我慢の限界を超えたハルトが声を荒げる。
言い合いが始まるか──その時
──ガララっ
「…っ…!?」
「──…これはまた…、珍しい組み合わせだね」
この露天風呂に、もうひとり
別の男が、驚いた顔で入ってきた。

