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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第28章 奪回

「まったく、驚かせてくれるよハルトは」
呆れと感心が混ざった表情で、スミヤは兄に話しかけた。
「知らない間に良い男になったものだね。もし弟でなかったら危うく手を出しそうだ」
「……」
「ねぇ?兄さん」
ふざけた事を言っているようで
…スミヤの声は真剣だった。
「──…ミレイがどんな思いでこの家を離れたか、兄さんだって…わかっている筈だ。
僕が心から尊敬する…貴方なら」
目一杯の皮肉をこめて微笑むこともできるが、今のスミヤはそれをしなかった。
「…それでも躊躇するんなら、今度は僕が兄さんの頭に熱湯をかけることになりそうだけれど」
「黙れ」
「……!」
スミヤの話を遮り
ピクリとも動かないカルロは口を開く。
“ ああ……、クソ、苛つく…… ”
腹の奥底で煮えくり返る想いを、表情には出さないまま。

