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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第30章 欠けた愛を 抱きしめて

「……!…っ…ハァ、…カルロさん…」
「……なに?」
「…ぁ…いいえ、何でも…っ」
一連のカルロの言葉が、誰に対してなのか──どんな意味を持つのか
彼の心の中を覗かないかぎり、この時のミレイにはわからなかっただろう。
けれどミレイは不思議と満たされた気持ちで、沸き上がる幸福感に自然と笑みを浮かべた。
「…ただ、また名前を呼んでくれたのがっ…嬉しく…て…」
《 俺はミレイを、愛してみせる 》
彼の言う愛が何であろうと、どうでもよくなってしまう。
「あなたに呼ばれると…、自分の名前が──当たり前のように使ってきたこの名前が、特別な物に、変わります」
「あんたの名は、嫌いじゃない」
「……っ」
「…あんたは俺にとって…特別、だし」
「嬉しい……!」
涙に触れていた指を滑らせ、カルロは彼女の頬に手を添えた。

