この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第31章 Epilogue ── とある恋人たちの日常

緊急事態だ。
しかし男に口を塞がれた拍子に、耳に付けていた小型の無線は落ちてしまった。
“ 連絡の手段が… ”
別のガードマンに報告しようにも、すぐにはできそうもない。
困った状況だが、相手に動揺をさとられないように彼女は平静をつとめた。
「…お前、あいつが雇ったガードマンだな?」
「知りません。それよりあなた…その刃物をしまって下さい。何のつもりですか」
男の言う「あいつ」とは依頼人のことで間違いなさそうだ。
それならば、この男を捕らえなければ…。
ミレイは服の下に片手を差し入れ
隠し持っている拳銃を取り出そうとした──。
「……やめときなよ」
「……っ」
「街中で " それ " は使うな。…マルタイは騒ぎを…望まない」
「…あ?…まだガードマンがいたのかよ…!!」
向かい合う二人の元へ、もうひとり…若い男が割り込んできた。
路地に入ってきた彼は怠そうに頭を掻きながら、ミレイの横に立つ。
「どうしてここに…!? カルロさん…っ」
「──…」
口で答える代わりに、伏せた目で彼女を見下ろした。

